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チャップリンの演説を流すCMの違和感

2014年08月11日

テレビのCMから、強いアクセントの演説が流れてきた。どこかで聞いたことのある強いアクセントで、しばらく耳に残るものだ。それは、CMはDODAという転職支援に従事する企業のもので、綾野剛演じる青年が、演説を背景に、力強く前に向かう姿を描いたものだ。

「絶望してはならない。自由のために闘え」という、演説のフレーズは、チャップリンの「独裁者」(1940年)という映画から抜粋されたものである。この演説はチャップリン自身によって記された名演説で、人種差別を辞め、自由と民主国家のために闘うこと、自然と科学の調和を訴えた深淵なものである。1940年当時の世界状況に鑑みれば、勇気ある演説でもある。

だが、私にはどうしても違和感が残る。その演説のアクセント、スタイルから、すぐさまヒットラーの演説を浮かべてしまうからだ。それもそのはずである。チャップリンは、映画「独裁者」で、ヒットラーを想定した独裁者を演じており、演説はヒットラーの演説スタイルを絶妙に真似てなされたものだからだ。

このCM、欧州であれば放送禁止なるのではないだろうか。このあたりの小さな認識や感覚のずれが、大きな摩擦の原因になるような気がして、CMが流れるたびに、気になってしまう。

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