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政党助成金 ~使途報告だけではなく成果報告を~

2014年07月08日

 野々村竜太郎兵庫県議の政務活動費問題が巷をにぎわせている。政務活動費の使途不明が主な問題であるが、号泣シーンの荒唐無稽さが、より目を引くいている。だが、政務活動費や政党助成金など政治家や政党に供与される公的資金の問題に関する議論はあまり聞かない。

1. 政党助成金にかかる報告義務
 国会議員の知人はさほど多くないが、それでも海外出張の話はよく耳にする。その内容は、相手国の政治家を訪ね、福祉施設などをめぐるという、いわゆる視察が多い。確かにこうした国際交流は大事かもしれない。ただ、公開されている内容からは、見分を広めるための視察以上のものを見て取ることはできない。
 しかし、国際協力銀行での勤務経験や多くの国際協力NGOと関わってきた経験に基づけば、2-3日の視察旅行で、途上国の実情や開発援助の本質を理解することは無理であると思う。
 何よりも、NGOやJICAの関係者が出張する際には、プロジェクトの形成やモニタリング、評価などかなり具体的な成果目標をもっている。出張後には、その目的をどこまで達成したのか問われるため、明確な報告が義務付けられる。特に、公的資金を用いた場合にはその責務はより重くなる。それは資金の使途を説明するのみならず、その資金を投じたことによってどのような成果が得られたのか、目的を達成できたのかを説明することが求められることを意味する。
 
2. 成果報告書が不在 
 政党助成金の透明性については、以前より議論になっており、その報告義務はより細密になっている。政党助成金を受け取った政党は次のような報告義務が課せられる。

  「収入」
   ○ 政党交付金の総額
   ○ 交付を受けた金額及び年月日
  「支出」
  ○ 政党交付金による支出の総額及び項目別の金額
  ○ 人件費・光熱水費以外の経費に係る支出で1件当たりの金額
   (数回にわたってされたときは、その合計金額)が5万円以上のものの支出の目的、
    金額、相手先 など

   これに、領収書、残高証明書、監査報告書などの書類の添付が求められる。
   (総務省 「なるほど政治資金・政党助成金」より)

 たしかにより細密な報告となっている。だが、これだけで納税者は真に納得するのだろうか。納税者が知りたいのは、明朗会計の報告だけでなく、公的資金を投じて何を達成したのかを説明してほしいのだ。しかし、成果報告書は課せられていないのだ。

 議員の海外視察は何のために行われるのだろうか。外交? 国際交流? 特定のプロジェクトの形成? それとも議員の見分を広め育成するためであろうか。公的資金を投じるのならば、まず、達成目標を明確にし、その成果を示してほしい。そして、見分を広めるような自己研鑽が目的ならば、自己資金で視察を行ってほしい。

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