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シニアだってソーシャル・イノベーター

2014年05月25日

1. 22年続く佐倉市国際大学
 佐倉市国際大学というNPO(法人格はない非営利のグループ)でお話をさせていただいた。このNPOは佐倉市住民のボランティアで運営されており、今年で25年目だそうだ。毎年、10か月間で22回の講義を開催し市民に公開する。毎回110人ほどが受講しているが、抽選会を開くほど応募者が多いという。言論NPOの工藤代表も2年ほど前に講師で呼ばれているが、人工知能から、民主主義の問題まで、マスコミで話題を集めているような魅力的な講師陣が集まっている。いずれも、同国際大学の運営メンバーが書籍やネットを検索したり、他の講演会などに出向き、講師を探し求めているのだそうだ。私の場合も、拙著や新聞記事をみて、初対面ながらとメールで連絡をいただいた。その文面がとても真摯で熱意があったのが印象的だった。おそらく、他の講師陣もコネなしで正面突破で口説き落としてきたのだろう。

2. 事務局メンバーは70歳以上
 私にコンタクトをとってくださった方は77歳、他運営メンバーの方々も70歳を超えているそうだ。事前の連絡、駅の出迎えまで仕事の分担や流れがしっかりしてスマートだ。編集担当の方がいらっしゃり丁寧に説明をいただいた(時々、講演が終わってから、事後承諾というかたちで、講演録チェックの依頼が来ることがあり戸惑うことがある。)

 事務局メンバーはどのような方か尋ねてみた。メンバーは第一勧銀、JALなどの大手企業の元社員だそうだ。いずれも、佐倉市がベットタウンとして開発された後に転居してきた人々で、その方々も定年退職し、地域の高齢化も進んでいるのだという。それにしても、接遇、ロジスティクスのスマートさは、他のNPOも見習うべきところが随分多いように思ったが、会社員時代に養われたマネジメント力が発揮されているのだろう。
 だが、何よりも興味深かったのは、ここまで活動を続けていることだ。しかも、漫然と続けているのではなく、昨今になってより人気が出てきているというのだ。この種の研修活動は、NPOだけでなく、企業でも随分開催されているが、長続きしない例も少なくない。この国際大学の場合は、佐倉市民対象に絞りながらも聴衆が詰めかけている。そのこと自体、稀有なことだ。何がその秘訣なのだろうか。探ってみたくなった。

 このところ若い人々が運営するNPOとのお付き合いが多い。新しい風を感じるからだ。しかし、昨日は、それとはまた別の魅力をもつNPOと出会った感がある。高齢者と言われても地域の問題を自分たちで、知識と知恵を駆使して解決する。そんな気概を感じた。
 今後は、佐倉市のようなベットタウンで、定年を迎えた人々が大半を占める地域は急増してゆくだろう。ソーシャルイノベーションは若い人の特権のように言われてきたが、シニアでも起こる予感だ。

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