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パンクチュアルは安全性の指標になるのか

2014年05月23日

1. 鉄道のパンクチュアルは、安全性の指標になるか
JR東日本の大塚相談役によれば、JR東日本の安全性の高さは、時間通りに運行できているからで、パンクチュアルであることが高い安全性を生んでいるという。ドイツの鉄道会社の社長は、それを聞いて、「目から鱗」だと驚き、帰国後すぐに同社の運営に活用したいと述べたそうだ。生真面目なドイツ人気質に訴えるものがあったのだろう。

私にとっては、パンクチュアルであることが、安全性の指標になっているという点が非常に面白かった。安全性の概念には、定性的なもの、感覚的なものも含まれ指標化しにくいところがある。何よりも、安全性の指標は、行動の結果、どの程度事故が防げたのか、事故が発生したのかというように、事後に測定されるものが多い。
他方で、パンクチュアルであるという指標は、簡単に測定ができる。また、安全性の指標が運行後にかかるものが多いのに対して、パンクチュアルの指標は、運行前、運行プロセスにかかる指標なので、この指標がうまく機能すれば、事故予防対策の指標として使うことができる。
そして、パンクチュアルに運行するためには、複数の作業を所定のマニュアルにそって適切に実施しなければならないはずだ。パンクチュアルであるという指標は、他の複数の指標を集約しているのだろう。

その意味で、パンクチュアルであることは安全性のためのキイ・パフォーマンス・インディケーターである。

2. この指標に汎用性はあるのか
ただし注意しなければならない点がある。パンクチュアルであるという指標がすべての鉄道の安全性指標になりうるかといいえば、疑問だからだ。福知山線脱線事故のように、運行の遅れを気にして事故になった例もある。大事なのは、時間通りに運行する諸作業が、安全性にどのように結びついているのかその経路を明らかにすることだろう。そこにこそ汎用性のある条件があるのではないか。

ドイツの鉄道会社は、その後、この指標をどのように利用しているのだろうか。そしてその効果が表れているだろうか。とても興味深いところだ。

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