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ワークライフバランスは誰のためのものなのか

2016年08月05日

企業向けに作られたワークライフバランスのDVDを観た。
 この10年ほど、裁量労働制の職場で働き、比較的、時間に自由のある働き方をしていた者としては、あまりこの問題に関心がなかったのが正直なところだ。しかし、最近、企業関係者と話す機会が増えた。特に女性の若手管理職の意見はリアルで、現状を賢く、冷静に捉えているようにみえた。ただ、リアリティの強い意見にどっぷり浸かってくると、出口が見えにくくなってくる。そのような中、ある別の企業の役員に勧められて本DVDを観ることにしたのだ。
 
 DVDのメッセージを要約すると次のようになるだろうか。ワークライフバランスとは、単に、労働時間を短縮し、家庭で過ごす時間を増やすことではない。また、時短やテレワークなどの社内制度を設置することで足りるものでもない。それは、働き方そのものの改革である。
 では従来の働き方とはどのようなものか。残業を多く行い、沢山の出張をこなすことが、企業への忠誠心ややる気の尺度として評価される等が典型例だろう。しかし、働き方改革では、そうした発想を大きく変えて、時間生産性の視点、つまり、ひとつの仕事をどれだけ短い時間でこなせるかという視点を取り入れ、仕事をの仕方、指導の仕方、人事考課の仕方等を変えてゆく。また、そうして生まれた時間を、会社以外の生活やネットワークを豊かにする。ひいては、それが会社の生産性に寄与する。

 ワークライフバランスとは、目先の制度や時短ではなく、働き方の抜本的な改革であるという考え方には共感した。だが、自らの生活やネットワークを豊かにするのは会社の生産性向上のためではなく、自分自身の人生のためという自立した発想を持たねば、結局は会社依存の生活からは脱出できないのではないか。

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