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日本の将来ビジョンと大学自立への道

2012年12月30日

12月25-27日まで、某大学執行部の合宿に参加した。次期ビジョン策定のための議論の助っ人をするためである。ここに参加をしてよかったと思った瞬間はいくつかあったが、学長の言葉が印象的だった。30年後の日本社会に、大学が何をもって寄与したいのかを描いた上で、方針や仕組みを決めるべきだと再確認でき、腑に落ちたというものだった。
 実は、この学長の言葉は、日本の大学政策の課題そのものである。このようなビジョンを描けず、制度や予算改革の議論に傾斜している。国立大学を国の機関から、独立させ法人化した時にも、こうしたビジョンや政策目標は曖昧だった。今回の選挙の政権公約にもこのような視点はなかった。
 20年後の日本の産業構造や人口構成を考えたとき、どのような教育が必要なのか。国民の何割程度が真に大学教育が必要なのか。仮に8割の大学進学率を想定するならば、大学数は過剰ではなく、まだ不足する。そうではなく、ジェネラリストよりも高度専門技術を身に着けることに重きをおくならば、大学ではない教育機関のほうが適しているかもしれない。こうしたビジョンは誰も提示していないのだ。
 ならば、大学側から提案してゆけばよい。それが叶ったとき、大学の自立への道が始まるのではないか。

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