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本当に大衆迎合なのか~東京-北京フォーラム メディア分科会~

2016年09月28日

9月27日、東京-北京フォーラムが都内で開催された。午後から5つの分科会(政治・外交、経済、安全保障、メディア、特別セッション(人の移動))が5時間にわたって開催された。

私は、メディア分科会を傍聴した。日中双方の主要新聞社、テレビ関係者など19名による5時間の討論が展開された。
主催団体である言論NPO代表、工藤氏から第12回日中共同世論調査結果の説明と本分科会議論に向けた問題提起があった。
つまり、「首脳会談が再開されたにもかかわらず国民感情が悪化していること。国民の主要情報源や従来のメディア、特にテレビ報道であること。これを踏まえて、両国のメディアはどうすればよいのか」というものだった。詳細は後ほど主催団体のHPにアップされるので、ここでは、一言辛口コメントを述べることをお許しいただきたい。

 日本のテレビ関係者から「昨年もっともテレビ報道数が多かったのは、「爆買」で600件ほどたった。制服を来て自転車に乗る中国人という古いイメージから、爆買の中国人という新しい中国人像を伝えている。さらに新しい中国人を伝えてゆく必要がある」というコメントがあった。
 すっと受け流して聞いてしまいそうなこの説明になぜか、あれ?と違和感を感じてしまったのだ。一体、誰が新しいと決めるのか。 誰が新しい中国人像を報道してほしいと望んでいるのか。視聴者は現実を正確に伝えてほしいだけではないか。そういう発想が報道を歪めることに通じないだろうか。
 
 議論の中で、良い出来事よりも、悪い出来事を優先して報道する傾向があるという意見が複数から出ていた。それも問題を孕んでいるとは思うが、”新しい”という価値判断は、また別次元の問題を孕むことになる。そして、この分科会の議論からは視聴者の姿は見えず、むしろメディア関係者の一人称で語られていたようにみえた。それにもかかわらず、これらを大衆迎合的と簡単にまとめてしまうことに、違和感を覚えてしまったのだ。

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