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福岡工業大学のPDCAと「まなざし」

2012年10月03日

福岡工業大学を訪問した。大学マネジメントではよくモデルとして取り上げられる大学だが、元ダイエーホークスの経営陣が同大学経営部門に移籍し、10年かけて経営改革を行ってきた。経営改革を行う大学は少なくないが、教学部門つまり教員が岩盤になって容易に進まないケースが多い。しかし福岡工業大学では、教育の成果目標をたてて、PDCAまわす文化が教員の中で少しづつ育ってきているそうだ。じっくりと忍耐強く会話をつづけ、成果達成の醍醐味や楽しさを知るようになってから徐々に変わってきたという。日本でも数少ないケースだろう。

大学研究では、同大学の分析はここで終わる。しかし、この目でみてみないとわからないことがあった。しかも、最も重要なことだ。そこで働く職員の顔が明るくて、職員がものおじせず発言することだ。それは、職員がのびのびと働くことのできる環境が整えられていることの証左でもある。一定の安心を与えながら、成長するための努力を後押しする仕組みと「まなざし」があるのではないかと、2日間の訪問を通じて思ったことだ。

すると、大谷理事からメールが届いた。”理事長 鵜木が常日頃より目指している 「教職員が明るく、のびのびと働く」 ということそのものであり、 鵜木が“経営の師”と仰ぐ 故 中内功氏(ダイエー創業者)が 「ネアカ、ノビノビ、ヘコタレズ」 をモットーとされていたことに由来しております。 ” と。

PDCAやそれを機能させるためのツールは沢山開発されているが、それを機能させるために最も必要なのは、「人間へのまなざし」なのだと改めて思った。

昨今、能力主義や効率性を重んじて、近視眼的に人を切ってゆく人事マネジメントが、企業のみならず、大学、行政でもみられる。しかし、実のところその評価基準はより曖昧で、何よりも、「人へのまなざし」が欠落しがちなものになっているのではないだろうか。

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