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経済学者と真っ向から割れたポスト2020年問題

2014年06月11日

1.歴代政権の永遠の課題 ~2020年の字化目標~
 2020年は、プライマリーバランスの黒字化目標を達成する年限であり、前の自民党政権、民主党政権、そして現自民党政権まで変わらず引き継がれてきた、国家目標だ。
 民衆党政権下で行われた財政制度審議会でも当然のことながら議論された。「現在の財政状況や中期財政フレームをみる限り、黒字化目標の達成は難しいのではないか?」との問いに、当時の副大臣は、意外にも正直に「その可能性も懸念するが、ここで不可能と述べたらソブリン問題になる」と答えたのが印象的だった。

 2014年、財政制度審議会は、長期財政フレームを出した。これまで中期財政フレームは内閣府から出されていたが、それ以上の長期にわたるフレームを提示したのはこれが初めてだ。それによれば、2020年の黒字化目標達成後も5兆円規模の財政節減を行い続けなければ、財政健全化の道は続かないことを明記している。

 しかし、本会議では、長期財政フレームとは異なる意見も複数出されていた。つまり、中長期のデータを示されても実感がわかず、むしろ、当面数年の具体的な戦略を打ち出し、国民に示すことが必要ではないかと。

2.真っ向から割れた2020年問題
 私は、2020年という年は、プライマリーバランスの黒字化目標にあわせて、それと同等、あるいはそれ以上に重要な意味を持つ年だと思っている。
 それは、東京オリンピックである。おそらく、東京オリンピックまでは、たとえ一時的であっても景気上昇ムードを迎えるだろう。国民の気運も、オリンピックに向かって、上昇するのではないかと思う。
 しかし、問題はその後のことだ。オリンピックが終わり、日本人にとって共通のおそらく最大の目標を失うことにならないか。無論、克服しなければならない社会課題は、人口jの高齢化など、より深刻になっているので、本来は目標はあるはずだ。しかし、オリンピックのような具体的で、なおかつ明るい目標はそうは存在しない。
 そのようなことから、私は、ポストオリンピックを見据えた対策が必要だと、主張し続けている。。

 しかし、こうした問題は経済的にはなかなか証明しにくい課題なのかもしれない。経済学者や財政学者からは私の主張を裏付けるような証拠はないと一笑に付されてしまった。

3.ポスト・ロンドンオリンピックについて尋ねる
 今、イギリスのウォーリック大学で、30余名の知識人たちと合宿をしている。良い機会なので、ポストオリンピックのイギリスの状況について尋ねてみた。
 すると、彼らは同様に、国民のモチベーションは落ち、停滞ムードが一時的にせよ漂ったと答えた。
 やはりそうだったかと、わが意を得たりと思った。ちなみに、ポストオリンピック問題については、日本では、学者は関心を示さなかったが、経営者からは共感を得ることが多い。

 経済分析や財政分析は政策策定において欠かせないものである。しかし、こうしたマクロの数字には表れないが、国政に影響しうるような、国民の心の問題も存在しうることを見逃してはならない。

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