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継続の見通しが困難な被災地NPO

2013年03月04日

 東日本大震災現地NPO応援基金 第2期第1回助成団体活動報告会が行われた。日本NPOセンターが、全国の企業、個人など様々な団体から寄付を募り、創設した基金で、被災地の団体を対象に、組織運営の強化に焦点をあてて助成を行うというものだ。通常、助成金は事業に助成し、人件費や事務費には充当することができないので、珍しい助成である。
 また、助成をするだけではなく、四半期に1度、フォローアップを行い、丁寧に相談に応じる。いわば、資金とともに技術的なサポートをあわせて提供する助成である。

 報告会では、被災3県で活動する6団体による発表が行われた。団体の活動は多様で、農業、漁業、高齢者ケア、地域つくりに、地域の団体やNPOを支援するものであった。また、これらは震災を契機に設立された団体もあれば、震災以前から活動していたものもある。
 福島で有機農業に従事する農家のネットワークは、この助成金で事務先住のスタッフを雇用することができたという。「百姓は、畑に出なければ仕事にならないので、事務をしている時間がないし得意ではない。事務スタッフを雇うことができたので、予想以上にいろいろな展開に結びつけることができた。」と語っていた。言われてみれば当然のことであるが、畑仕事をしたことがなく、デスクワークオンリーの私にとっては、目から鱗であった。
 高齢者ばかりの小さな漁業の町では、「復興といわれても、後少ししか生きられない年寄りには、到底考えられない」と言う、人々りが多かったという。それでも、外からの支援者や若者と接する中で、少しずつ前向きになったなどの報告があった。施設や家屋が建つような目に見えた成果ではない。しかし、以前より過疎と高齢化に苦しみ、なおかつ絶望的な被害にあった被災地の人々にとって、こうした変化は最も大事な成果のひとつなのではないだろうか。
 しかしながら、心配なこともあった。いずれの活動も、今後、どのように継続してゆくかの見通しがついていないのだ。そして、さらなる支援を訴えていた。また、東日本大震災現地NPO応援基金のほうも有限の資金であり、そろそろ底がつき始めている。そのような中にあっても、同基金への助成申請が増えているという。おそらく、震災直後に数多あった、震災向けの助成も、2年経たところで、打ち切る団体が増えているためと思われる。
 震災の記憶が薄れてゆく中で、被災地の人々にとってはこれからが厳しい時間になるのではないだろうか。被災後半年くらいから、頻繁に「風化」という言葉が使われたが、今こそ、自分自身に問いかけねばならないと感じた報告会だった。

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