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自己評価能力を上げるための目的・計画と指標の作り方

2013年01月20日

自己評価能力を高めるための目的・計画と指標の作り方に関する研修会ポスター

随分長いタイトルの研修会である。もともとの名前は、Evaluabilityで、米国評価専門家 Joseph Wholeyが作った造語である。これには、「評価可能性」と「評価能力」の2つに訳すことができるが、私は両方の意味をもっていると考える。
 Whoeleyは、事業が終了した時点で、評価を行おうとしたが、目的と計画が整っていないため、何を達成しようとしていたのか、何を実施していたのか、さっぱりわからないという問題に何度も遭遇したのである。
 当然のことながら評価書の出来も悪くなるわけだが、評価者にしてみれば、評価技術のせいにされては困ると思ったのだろう。
 ならば、事後評価を行う前に、その対象となる目的と計画の質を上げてしまおうという発想である。そうすれば、目的と計画の出来がよくなるだけでなく、目的達成可能性も上がり、評価の出来もよくなるというものだ。

 平成22年に、国立大学法人評価に着手してみて、まったく、同じ問題があることに気付いたが、何とか、Evaluabilityの考え方を大学に導入できないものか研究を続けてきた。着手した途端に、大きな抵抗にあった。「そもそも、評価機関がなぜ、目的や計画に介入するのか?」「評価なのに、なぜ目的や計画なのか」というものだった。
 ようやく、手法のかたちが出てくると、「何回作業をしたら真実に到達するのか?」と何度か質問された。物理や数学のモデルと誤解されているようだが、あくまでも思考支援のためのツールである。この違いは、経営学の先生にはすぐに理解できるのだが、理学系の先生には理解困難なようだった。
 こうした質問や抵抗に遭遇するにつけ、PDCAを実感している大学人がいかに少ないのかと思った。また、大学という多様性の象徴のような組織にPDCAをどう導入するのかという点は、誰も答えを出していないのではないだろうか。

そういえば、ドラッカーがNY時代、自らが所属する大学にマネジメントを導入しようとして、撃沈したと述べていた。経営学の父をもってしても、失敗したというのだから、大学という非営利組織は只者ではないことは確かである。挑戦のしがいがありそうだ。

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