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誰も望んでいない不幸な衝突

2012年12月19日

明石康氏(元国連事務次長)を講師に、勉強会が開催された(言論NPO主催)。10数名のクローズの勉強会だったので、明石氏を囲んで、なかなか活発な議論がなされた。
明石氏は、集団的自衛権、憲法論議、外交・安全保障政策、そして日本の右傾化と内向き傾向について語った。そのバランス感覚溢れる慎重な言葉使いに感心した。特に関心を抱いたのは、以下の2点である。
 ひとつは、尖閣問題に関する言及だった。「ハプニングがハプニングを呼び、誰も望んでいない衝突や不幸な結果にならないとは限らない。それを防ぐためのクッションが必要だ。その役目を果たすのは、緻密な相互理解である」という。それは、政府間の理解だけでなく、当然のことながら民間交流のことをさしている。平和ボケしている私たちは役割について過小評価しているのではないかと考えさせられた。
 もうひとつは、1930年代、すなわち、第二次世界大戦前後状態と、今の日本が似てきているのではないかという点である。同様の意見は、複数の参加者から出ていた。しかし、私が似ていると思うのは、日本ではなく、当時のドイツである。「日本にはヒットラーはいない」という反論が返ってきそうだが、ヒットラーを選択したのも、独裁者にしたのも、それを見て見ぬふりをして、無関心の罪を犯したのも国民であったことを、私たちはどこまで理解しているのだろうか。

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