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財政健全化を決定するのは結局は国民

2013年04月27日

 アベノミクス景気で、日本の財政規律問題は影を薄くしているようにみえる。野田政権下が増税議論を打ち出したときには、マスコミが財政赤字問題や将来世代への巨額な負担について頻繁に取り上げていた。だが、最近では財政健全化問題の議論はすっかり下火になってしまった。
 しかしながら、この問題は現存しているし、昨今の財政出動でますます厳しさを増しているのが現実である。先日のG20においても、日本の財政健全化について最善の努力をするよう勧告がなされている。
 「2020年までにプライマリーバランスを実現する」という公約は前の自民党政権下で示されたものだが、民主党政権、そして現自民党政権においても、公約として掲げられている。しかもそれは事実上の国際公約でもある。
 では、どの程度問題は深刻なのか。財務省は、我が国の財政状況を家計に例えて、その状態を数字で示している。世帯収入40万円に対して、支出は75万円、内家計費(社会保障、文教などの諸経費)は58万円、田舎への仕送り(地方交付税)は14万円、ローン元利払は17万円である。したがって、毎月の赤字は35万円、ローン残高は6,348万円という状態である。この数字を見た知人が、「家より酷い」と言ったが、サラ金地獄に陥っているか、夜逃げ寸前の状態である。
 しかし、「国が破産するなんてありえない」と思う人が多いのではないだろうか。だが、1973年のオイルショック後に、南米諸国を中心に国が破綻し、その他にも国の破綻例は幾つも存在する。このような例を示すと、日本とは事情が異なるという反論が必ず帰ってくる。日本の国債の大変が国内で消化されていること、日本の国有資産600兆円に比べれば、1000兆円の借金はさほど大きくない等が理由だ。
 だが、国債は、資産ではなく借金だ。しかもそのツケを将来世代に回しており、額は日に日に増している。また、日本の国有資産600兆円の内訳をみると、財投券の返済への充当などその使途は決まっている。また、国が有する固定資産は真に売却し、キャッシュに転換できるのであろうか。
 そのように考えると、財政健全化問題は喫緊の課題であることに違いないのである。
 では、財政健全化はどのように実現されるのか。まずは、プライマリーバランスを実現することである。収入のほうは、景気などの不確定要因の影響が大きいので、より確実にできるのは支出の方を抑制することである。
 この点について、歴代政府も対応策を打ち出してきた。たとえば、予算策定時にシーリングをかけるなどは、何度か閣議決定されてきた。だが、その約束は何度も破られてきた。約束を決めたのが政治であるとすれば、齟齬にしているのも政治なのである。
 こうした状況に、監視の目を向け、歯止めをかけることができるのは誰なのか。財務省は、政治に対して助言や忠告はできるが、自らの上位に位置する政治に対して審判を下すことはできない。つまり、最終的には、政治の審判者である有権者が、決定権を持つことになるのである。
 財政問題は、その金額があまりにも大きいために、またその決定過程に参画できるのは一部の者でしかないために、有権者にとって遠い問題である。しかし、真の審判者は有権者でしかないことを共有してゆかねばならないと思っている。

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