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資金の透明性について ~エクセレントNPO大賞審査から~

2012年07月16日

「資金の透明性」第1回エクセレントNPO大賞の審査委員会で長時間にわたって議論された問題である。「たとえ汚いお金でも、社会貢献や善意の活動で使えば綺麗になる」「白い猫も黒い猫もねずみをとれば同じ」という意見は、NPO業界で時々、耳にする言葉である。しかし、エクセレントNPO評価基準では、社会常識や倫理的な観点から問題視される個人や団体からの資金を得ることはよくないという考えている。資金の透明性は、支援者、受益者、対社会に対する説明責任の重要な柱であるからだ。尋ねられて堂々と他者に説明できない資金を得ることはまずいのである。下記は審査委員会講評で、「エクセレントNPO大賞」が今年はないことを説明した文章の抜粋である。

「社会常識や倫理的な観点から問題視されている個人や団体から資金を得たことがある団体・組織、特定の政党や政治家との関係が密接ではないかとの疑義がある団体・組織が応募団体に含まれていることが指摘されたからです。そこで、このような団体・組織をノミネートすることが適当かどうかを慎重に検討しました。その結果、「エクセレントNPO評価基準の趣旨からみて」、そのような問題があると審査委員会が判断した団体・組織については、今回は、ノミネートの対象としないことにしました。」

米国では、寄付をもらう側が「gift acceptance policy」といって、寄付をもらうことに関する方針をもつ非営利組織は少なくない。特に、多くの寄付者やステイクホルダーを抱える組織は、こうした問題に最新の配慮を払っている。私も米国財団職員向け研修を受けた際、最初に学ぶことが倫理問題であった。日本ではこうした議論がいまだ不十分である。しかし、今回の賞の支援者であるメディアや企業は、NPOが思っている以上にはるかに厳しい眼でみていることも、審査委員会を通じてわかった。一度、正面を切って、この問題を議論する必要がある。

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