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震災復興予算の”目的外使用”と問題の本質

2012年10月13日

復興予算の”目的外使用”が連日のように紙面をにぎわせている。しかし、同種の問題は、既に2年前から起こる予感があった。

民主党政権は予算制度の改革として、「予算組み替えと重点化」を2年ほど前に創設した。概算要求枠の1割をカットして、政府が挙げる重点分野について、予算を府省から提案させ、政策コンテスト(政治家で構成)で、選定をするというものだ。

最初の重点分野は「新しい公共」や「雇用」などであった。「新しい公共」として、2010年度向け予算に掲げられたのは2千数百億円であったが、その内容はおよそ「新しい公共」とは思えない予算案がが単なるネーミングで各府省から突っ込まれている状況だった(詳細は『市民社会政策論』)。

府省としてはカットされた1割を取り戻そうと必死になるだろうし、重点分野についてよほど明確な目標と方針が定義されていないと、様々なものが突っ込まれる可能性は、初年度から示唆されていた。また、財務省の審議会でもその懸念を強く申し上げたつもりだ。

国会で個別案件ごとに議論されているが、これだけだとモグラ叩きになってしまう。見直すべきは、予算組み替えと重点化の制度であり、重点分野についての政府の目的の曖昧さや、予算案策定の方針やガイドラインの不在の問題である。

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