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3.11を経て ~問われている社会全体の内向き志向~

2013年03月06日

3月5日夕方、NHKラジオ 「私も一言に」出演しました。日本NPOセンター常務理事の田尻さんも一緒でした。テーマは被災地における民間支援です。
 被災地では、絶望にうちひしがれていた気持ちをようやく立て直し、自発的に復興に取り組む芽が、かたちになりはじめたところです。他方で、被災地外からの民間支援は急速に減っています。こうした現場の問題とともに、周囲の私たちがこの問題にどう向かいあえるかで(あるいは「無関心の罪」をおかすかで)、この国の社会の質が決まることを伝えようと思いました。

 震災を経て、日本の市民社会にどのような変化があったのかと、海外のメディアやシンクタンクから問い合わせをいただくことがありました。また、日本では、ボランティア革命といわれた、阪神・淡路大震災の記憶があります。ですから、きっと東日本大震災でも、日本の市民社会は強くなっただろうという楽観的な仮説を抱いている方々は、特にメディアの中に少なくありません。
 しかしながら、震災前後の市民性を示す指標(献血率、ボランティア行動率等々)についてみると、低下傾向がみられ、内向きの兆しがみえています。過去の世界の歴史に基づけば、こうした国民的な内向き志向は、じわじわと社会のアノミーやポピュビズムに効いてくることがあります。
 内向き志向に対する特効薬はありません。知識層やジャーナリズムが解決策にならなかったことも過去の歴史が物語っています。

 まずは社会や身の回りの課題をどれだけ己事として認識できるかが肝要ではないかと思います。ラジオの対談では、被災地の現場の様子がリアルに伝えられました。その内容は、従来、地域が抱えていた高齢化の問題が震災で一挙に噴出したものが、想像以上に多いことがわかります。
 3.11から2年。もう一度、被災地の問題を己に引き付けて考えてみることは、被災地のためだけではなく、自らのためでもあるのではないでしょうか。

http://cgi2.nhk.or.jp/hitokoto/bbs/form2.cgi?cid=1&pid=20105&pgc=0&vc=20

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