書籍・論文

『ドラッカー 2020年の日本人への預言』集英社2012年10月

領域: 1 市民社会政策研究

なぜ、ドラッカーがマネジメント論に着手しようと思ったのか、なぜ、非営利組織に強い関心を示したのか。日本では多くの誤解が流布している。マネジメント論にばかり目を奪われているからであり、それは渡米前のドラッカーの思想を軽視してしまうことを意味する。本著は、これまで目を向けられてこなかったドラッカーの思想の原点をひも解きくことを目的とする。それは、青年ドラッカーが自らの苦悩の中で記したナチスの批判的分析であり、第二次大戦後の次の社会像として導いた「一人ひとりが位置と役割を持つ自由社会」である。本著は、世界大戦前後の欧州小史を交えながら、これらの思想の原点を紹介する。そして、氏のマネジメント論は壮大な社会統治論の下位概念であり、経済的役割とコミュニティの役割を担う組織のためであったことを指摘する。さらに、産業社会から知識社会に大きく転換する中で、コミュニティの役割は非営利組織が担うことになることを説明する。そして、現代日本が直面する自由と民主主義の危機について、ドラッカーが警鐘をもとに考える。

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