書籍・論文

「構造調整借款20年のレビューからみる日本政府の政策と判断」 『日本評価研究』第6巻第1号 日本評価学会 2006年3月

領域: 3 評価研究 / 3-3 ODA評価 / (1)ODA政策評価研究:政策の上流と行政業務の連動

[概要]

外務省はODA評価の一貫として日本の構造調整借款について初めて包括的なレビューを行った。1986年、構造調整借款の開始以来、約20年間で9,767億円が投じられている。本論では開始時期の政策背景を探ろうとした。そこでみえてきたのは、日米貿易摩擦に取り組む日本政府の葛藤と資金環流措置であった。当時、構造調整借款は総額650億ドルの資金環流措置のパッケージのひとつで、足の速い援助モダリティであることから環流目的に適しているとして選択されたのである。ここで問われるのは、日米貿易摩擦解消のための資金還流という目的を背負いながらもODAとして構造調整借款を選択したことの妥当性である。また、ODA政策を超えて政治的判断に直結した案件政策評価の課題についても問題提起した。

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