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国の給付金の課題

2025年04月11日

政府は、トランプ関税の影響に備え、国民への給付金を検討していると報道されている。
2020年に、新型コロナ感染症対応として、一人あたり10万円の特別定額給付金が全国民を対象に支給されたことは記憶に新しい。実は、それ以外にも、様々な臨時給付金が支給されていることはあまり知られていない。

会計検査院は、令和2年度から4年度の間に、新型コロナ対策・物価対策として、政府が講じた9種類の子育て世帯・低所得世帯向けの給付金について検査を行った。

人々が、まず知りたいのは「どのような国民にいくら支給され、その総額はいくらだったのか?」だろう。しかしながら、政府は情報を持ち合わせていなかった。そのため、会計検査院は国政調査のデータを活用して推計している。

9種類の子育て世帯・低所得世帯向けの給付金(令和2年度〜4年度)の総額は4兆4745億円で、給付制度ごとに支給要件を満たす児童や世帯に、それぞれ1万円から10万円が支給された。

分析の結果、各給付の給付率に差があることが判明した。給付率とは、支給要件を満たす対象者の何割に給付金が配分されたのかを示す割合である。「子育て世帯特別給付金」(前者)と「子育て世帯への臨時特別給付」(後者)は類似の給付金であるので給付率はほぼ同じであるはずだが、数%の差があることが分かったのだ。会計検査院は、その原因の一つとして、給付手続きの違いに着目した。

前者は自治体が保有する児童手当のデータを用いて、申請書類による手続きが不要なプッシュ型の給付が可能であった。
他方、後者は新たに、高校生のみを養育する者が加わったため、自治体によっては、データを保有しておらず、プッシュ型給付ができなかった。その場合、自治体は、住民基本台帳などから対象と思われる者を手作業で特定し、個別に郵送で申請を促すことになる。だが、それが実施されていない事態が散見されたのだ。つまり、本来受給資格がある世帯に給付金が届かなかった可能性があるということだ。

また、各給付1件あたりの事務費を比較したところ、プッシュ型給付ができた給付金の事務費は1件あたり463円だった。他方、支給要件が複数あり、対象者の特定やデータの照合作業を要した給付金の事務費は高額で、5万円の給付に対して6753円の事務費を要しているものもあった。

心配されたのは、何種類もの臨時の給付金事務を、本来業務に加えて担う自治体の負担の重さだ。先の例が示すように、自治体のデジタル化を進めることは急務である。そのためには、事務費の支給だけでなく、人材を派遣するなど、サポート体制を整えることも急がれる。

今後、給付金を検討するならば、先の新型コロナ感染症対策・物価対策として行った給付金で明らかになった課題を生かし、より効率的に運営して欲しい。そのためには、会計検査院の指摘に基づき改善することは勿論のこと、政府自らが検証体制を整えて、データをしっかりと取ってゆく必要がある。そして、将来的には効果検証を行い、国費の有効活用を検討すべきである。

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