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「アジアの価値と民主主義」~なぜ、危機を議論しないのか~

2018年07月27日

日経新聞(7/27朝刊)27面は「アジアの価値観と民主主義シンポジウム」の概要が示されていた。インド、インドネシア、マレーシア、中国、台湾、韓国の政治家、大学教授、シンクタンクの研究員などの識者が参加。日本からは、兼原信克内閣官房副長官がパネルとして参加し、その発言内容が説明されていた。安倍首相のあいさつもあり「日本はアジアの国づくり、民主主義の土台づくりのお手伝いができる」と記されていた。

その内容は、主として、宗教や思想、民族が異なる中での多様性あるアジア的民主主義の価値に関するものだった。だが、それだけで良いのか。トランプ現象にみられるような独裁色の強いリーダーの台頭、欧州のポピュリズム化にどう立ち向かうのか、さらには日本、アジア諸国にも同様の兆しがないのか。ここはアジアの民主主義の価値だけでなく、民主主義の危機にもっと軸足を置いた議論にすべきだったのではないだろうか。シンポジウムではこの点も議論されたのかもしれないが、少なくとも紙面1面を投じた記事には、その点についての言及は見当たらなかった。時節を得たテーマであるだけに残念に思えた。

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