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評価塾開講 ~身近なから日常から評価を捉える~

2016年07月19日
    1. 大きくリニューアルした第4回エクセレントNPO大賞

    第4回エクセレントNPO大賞の応募が開始された。今回はこの仕組みを大きくリニューアルした。
     第1に審査基準の刷新で、成果やパフォーマンスの基準を含めた。
     第2に、審査過程の刷新である。エクセレントNPO大賞は、元来、評価基準をもとに自己評価しそれを応募してもらう。さらに審査委員も同じ基準で評価する。そのため審査プロセスは透明で、表彰式では惜しくも落選した団体にも、また、大賞受賞者にも良い点と課題が説明される。それ事態ユニークで、だからこそ入賞団体だけでなく、入賞を逃した団体の多くも表彰式に参加していたのだ。
     だが、第4回は、さらに審査により多くの市民が参加する仕組みを組み入れた。具体的には、クラウド・ファンディングを第二次審査に組み入れたのである。日本最大手のクラウド・ファンディング会社の協力を得て、第1次の書面審査を通過した団体は、HP上で自らの事業をアピールし寄付を集う。この寄付は、どれだけの市民から共感を得たのかを示す指標でもある。その結果をもって、第3次審査における重要な参考情報とするのである。
     第3は、人材育成や教育プログラムを新たに組み入れたことである。まず、学生むけにインターンシップを設けた。今年は、上智大学等の協力を得て博士課程、学部学生ら3名を受け入れた。彼らには、単に作業のお手伝いをしてもらうのではなく、評価の基礎知識を学んでもらい、その後、応募書類整理のアシストをしながら評価の実践を学んでもらうのである。
     

2. 身近な日常から評価を科学する
 
評価塾の講義内容は、私がこの20年間、米国や日本で学んできた評価知識・技術に加え、国際協力銀行でのODA評価の実践、現在所属している職場での大学評価の実務、さらにはドラッカー直伝の非営利評価論などを集大成したものと言える。
 日本社会では、評価に対するアレルギーは強いが、実は、買い物、就職、進学、スポーツなど日常生活のあらゆる場面で、無意識に評価という行為を行っている。このことに気づくと、全く違った評価の世界が見えてくる。それはロジカルに物事を見直したり、課題を解いてゆくための思考の訓練過程のようなものだ。それが身についてくると、評価が楽しいものであることがわかってくる。
 また、表面的な方法論だけを使おうとすると、すぐに飽きが来てしまう。何よりも、誤った方法を用いて、信頼性に欠ける結果を出してしまっては投じたエネルギー、時間や金が無駄になってしまう。評価に使われてしまっては元も子もない。そこで、評価の基礎的な考え方を身に着けることによって、評価を賢く使いこなし、有効に活用するための審美眼を磨くことも本講義がめざすところである。
 以下は、9日より実施された2回の講義のサマリーである。

第1回は「評価とは何か」をテーマに講義と議論が行われました。世界大学ランキングを例に、そこで競争が生まれるとお金や人などの財の移動が起こり、あたかも疑似市場が生まれることがあることを説明しました。そのほかにもスポーツなども評価の典型例であることが議論した。そして、私たちの社会で最も馴染のある営利企業の評価から、非営利評価へと講義が進みます。絶え間なく質疑応答が続き、2時間の予定が3時間にもなりました。

第2回は、「変化とは何か」をテーマに活発な議論が展開されました。効果とは何か、進捗しているとは何かを「変化」という言葉に置き換え、その意味を平易な言葉で、科学的に捉えてゆきます。また、アウトカムとは何か、インパクトは何か、その意味や定義についても議論しました。評価は日常の身近な行為でもあると同時に、理論や測定を組み入れることによって科学になってゆくのです。

 2回までは序章である。これからが本番になるが関係者の意見を聞きながらさらに工夫を加えてゆきたい。

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