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新しい公共関連予算と不正問題

2013年04月03日

国の基金は、いわゆるファンドとは異なる。平たく言えば、2年以上にわたって支出が認められる予算のことだ。データを分析する必要があるが、補正予算によって計上された基金が多いという印象がある。
 最近では、雇用、復興関連、エネルギーなどにその対象になってきたものが散見される。民主党政権が掲げた「新しい公共」もそのひとつである。新しい公共というネーミングでの基金としては、2009年の補正70億円、2010年の補正87億円の2つがあると記憶している。また、「新しい公共」は、福祉、雇用、復興政策と重なっている。
 しかしながら、その資金の流れはどのようなものだったのか、末端ではどのような団体がどのような活動をしていたのか、さらに成果はどのようなものだったのか、よくわからない。国の掌握にも限界があるので、直接国から委託された分や自治体にわたった資金の掌握にとどまるのではないだろうか。
 ところが、最近になって、NPOの不正問題がしばしばマスコミに登場するようになった。岩手県山田町で活動していたNPO法人”大雪りばぁねっと”は、新聞、テレビで話題になっている。ネット検索をするとさらに多種・多様な問題が示されている。中でも、不正受給、不正使用の問題が多い。「NPO」で検索した場合、”良い”記事よりも、”悪い”記事のほうがより多く検索にひっかかってくるようになっており、1年前と明らかに異なる状況である。
 この問題の所在は、無論NPO側にある。同時に、政策を決定した政治側の問題でもある。3月17日に開催された日本NPO学会年次大会のパネル討論で、自民、民主、日本維新の会から議員を討論者に迎え、NPO政策について議論した。その際に、民主の議員から「資金を取るのが上手なNPOに金がわたったが、必ずしも成果につながっていない」という趣旨の発言があった。問題について何らかの認識があるということだろう。
 だが、この問題は、NPOと政府、NPOと政治というような身内の議論に留めていては、事実がうやむやになってしまう予感がある。一度、第三者の眼でメスを入れる必要がある。それは、不正の追及だけではなく、政策のつくりの問題やその立案過程、実行過程まで明らかにする必要がある。
 現行の政策評価の仕組みでは限界があるのは自明であり、民間側からアプローチしてゆく必要があると思っている。その理由については、大きなテーマなので別途記したいと思っている。

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