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母の手が幼子の手になる時

2015年01月18日

母と成田山新勝寺にお参りに行った。先月29日に、母は二女、つまり私の妹を亡くしたこともあり、正月のお参りは控えていたが、知人の誘いで出かけることにしたのだ。
前日に妹の納骨式があり、少し疲れていたせいで、最初、母はさほど積極的ではなかった。しかし、新勝寺に到着し、境内に入ると母の目は輝いていた。お参りが終わり新勝寺を出る時、母は、妹を供養でき、ようやく年が明けたような気がすると真に嬉しそうに言った。

境内の中で行われる護摩祈願では、カバンを僧侶に渡して火にあててもらうことができる。たくさんの人々が僧侶めがけて自らのバックやカバンを渡し始めた。知人の勧めもあり、母と私もバックを抱えて僧侶のところに向かったが、あまりに沢山の人々が押し寄せて、押しつぶされそうになる。列をつくりながら母の手をとると、母がきゅっと握り返してきた。少し心細そうで、はぐれないように私の手を懸命に握っていたのだ。そして、その手は、母の手ではなく、幼い子供の手だった。その手の感触を思うと、無性に涙が出てきた。

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