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研究倫理について ~日本NPO学会会員の皆様へ~

2014年04月17日

日本NPO学会会員の皆様

御世話になります。

さて、昨今、研究倫理が話題になっていますが、この問題は、科学技術分野に限ったものではなく、社会科学分野にも問われる重要な課題です。他方で、何が反倫理的であるとするのか、何をもって倫理的であるのかについての整理は途上段階にあり、認識が共有されないままに議論されていることもあります。そこで、国内外の議論を参考に、研究倫理に関する基本的な事項について私なりに整理し、ノートにまとめました。

会員の皆様と参照情報として、共有させていただきたく、日本NPO学会ホームページにアップいたしました。下記のURLからご覧いただくことができます。
http://www.osipp.osaka-u.ac.jp/janpora/研究倫理に関する会長ノート要約付-5.pdf

ご参考までに、下記に要約部分を貼り付けます。
なお、ここで掲げたノートは、学会としてのガイドラインではなく、あくまでも参考情報ですが、
今後、皆様と共に考え、議論することは重要だと考えております。

日本NPO学会会長
田中弥生

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要約
 最近、STAP細胞論文など、研究倫理問題が話題になっているが、
それは科学技術分野のみならず社会科学分野においても重要な問題である。そして、日本NPO学会にとっても決して他人事ではない。だが、一般に研究倫理にかかる概念整理と理解は途上段階にあるといえよう。

 そこで、欧州科学財団やOECDの議論をベースにその意味概念の基本を記したが、
当学会員と共有したいと考えた。
 研究倫理上問題ある行為は、大きく反倫理行為(misconduct)と不正行為(misbehaviour)に分けることができる。
 不正行為とは、刑罰によって処せられる類の行為で、研究費の不正受給、不適切な使用、学生や助手へのハラスメントなどをさす。
 反倫理的行為は刑罰に処せられる類のものではないが、研究コミュニティにおいて厳しく律せられるべき事柄である。そして、反倫理行為は、中核の反倫理行為とその他の反倫理行為に区分される。
中核のそれは、偽造・ねつ造(Fabrication)、虚偽・曲解(Falsification)、盗作(Plagiarism)である。
 その他の反倫理行為には、データ管理や調査手続き、編集などにかかるものが挙げられる。
そして、ここでは、研究者倫理のgood practiceとして、データ、調査手続き、研究者としての責任、出版、編集の5つの項目を挙げた。例えば、データは安全に管理されねばならないが、同時に第三者がアクセスできるものでなければならない。

 なお、ここで掲げられた反倫理行為やgood practiceに関する記述は、マニュアルではなく、あくまでも考え方を示したものである。したがって、学問分野や研究コミュニティの特性に応じて解釈や実践方法を工夫してゆかねばならないが、まずはそれが何であるのかを理解することが肝要である。

研究倫理に関する会長ノート要約付

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